マラケシの市場は面白い処だが3~4日もすると飽きてきたと言うよりうんざりしてきた。
近づいて来るなり手を前に出して構えて「アッチョーっ」と叫んできたり小さな厚い板切れを持ってきて「これを割れ」と言ってくる。
どう考えても割れる訳がないと思うのだが相手は本気のようだ。
こんなことが続くからもう呆れて嫌になってきたのだ。
その時は意味が分からなかったがこの後ロンドンへ行ったら映画館の前でこの奇声を何度も聞いた。
「燃えよドラゴン」が大ヒットしているのを知らなかった。
つまりブルース・リーのようにカンフーを見せろと言っていたのだろう。
また板割りはマス大山こと大山倍達の空手のことだった。
しかしこの時は何のことか分からないまま急いでモロッコを離れることにした。
急だったので交通手段がなくヒッチハイクをすることにした。
ところが待てど暮らせど停まってくれる車はなく8時間待ってやっと優しい夫婦の車に乗せてもらった。
急いで離れる理由はもう一つあり足が痒くてそれも凄く痒くて血が出るくらい掻いてしまう。
これも後で分かったことだが南京虫にやられていた。
「せっかく初めてホテルに泊まったのに何てことだ」後から考えればシーツに小さな穴がいくつか空いていたのでおかしいと気がつけばよかったのだがそもそも南京虫を知らなかった。
後悔し学習し寝袋まで捨てた。